なぜ、起業したのか

新たな世界の幕開き

春と言えば別れと出会いの季節。また、新しいことが始まる、新しいことを始める季節でもあります。みなさんもこの春から新しい学校、新しいクラスで学ぶことと思います。

思い返せば、幼少期の頃からこの時季が好きでした。春を待ちわびた草木がいっせいに芽吹き、新芽を伸ばす。冬の眠りから覚めた生き物たちに挨拶をしながら、野原を駆け回ったことを覚えています。

冬野がみるみるうちに緑に覆われると、たくさんの蝶が飛び交い始めます。幼い私は意気揚々と春の野に出て、虫とり網を掲げ、小さな友達を探しました。友達のことをより深く知ろうと図鑑を開いたり、図書館から本を借りてきたり…。本を読むことで、私の世界はどんどん大きく広がっていきました。

春は新しい生活の幕が開ける季節でもあります。

さて、私の人生にも新しい幕開きが訪れました。

起業しました

起業しました。起業と言っても世の中を変えるような大きな事業ではありません。ほんのささやかなことです。小さな教室を開きました。場所は大阪府高石市。開業場所の選定に4ヶ月を要しました。

生まれ故郷の奈良、高校時代に縁のあった神戸、そのほか阪神地域から北摂にかけて、クルマと自転車を使って開業地を探して回りました。

東京に住んでいたため、晩夏から初冬まで3週間おきに帰省して、開業地を探し求めることを繰り返しました。あちらこちらを巡り歩きましたが、希望の条件を満たす部屋が見つかりませんでした。

小春日和のある日、高石駅近くに小ぢんまりとした部屋を見つけました。清潔で明るいその教室を、「学心(がくしん)」と名づけました。私の目指す教育のコンセプトが忠実に表現されており、発音しやすく心に残りやすい名前で気に入っています。大学の同期も「学心は良い名前だ」と言ってくれました。

なぜ、起業したのか?

大学卒業後の3年間、大学院で植物の研究を続けていました。幼少期から大好きだった生き物を研究したい。ファーブルのような人物になりたい。自然の神秘や魅力を探求したいという思いで続けてきました。ところが次第に、「教育に関する仕事を始めたい」という気持ちが芽生えてきました。

もともと自分の手で何かを作ったり、独りの力で物事を進めたりすることが好きでした。幼い頃から、身の回りにある日用品を使って、たくさんの作品を作ってきました。集団授業を受けるよりも、一人で黙々と学ぶことが楽しく、グループ登山よりも単独行に魅力を感じました。自分独りの力では大きなことに挑戦できませんが、小さなことでも独力で成し遂げるとそこから得られる達成感はひとしおです。

大学院生時代に、子どもや保護者向けの教育メディアを立ち上げました。かれこれ3年近くになります。最初は私の記事を読む人は、誰もいませんでしたが、今では毎日1,000人以上の方が訪問しています。声や映像でも伝わるようにとYouTubeへの投稿も始めました。いずれもたくさんのお便りが寄せられており、全国の方々と繋がりを持っています。頻繁に記事を届けてくださる方もいて、皆さんに支えられながら継続しています。メディアを運営し始めた当初はこんなにも反響を呼ぶとは思っていませんでした。自分で始めたからこそ喜びも大きいです。

メディアが軌道に乗ってから、「実体を持った事業を起こしたい」と考えるようになりました。早速行動に移しました。まず何をやるのか。どうせ始めるなら楽しいことがいい。幼少期を振り返って思い出に残っているものは2つあります。野山を駆け回りたくさんの生き物たちと遊んだこと。本のページをめくって学んだこと。どちらも楽しい思い出です。 

さまざまな年齢の方を対象にできることを想定して、後者に焦点を絞ることにしました。

学心に込めた想い

受験や競争よりも学ぶこと自体を楽しむ。そんな世の中になればいいなと常々思っていました。

子どもと先生が一緒に楽しく学べるような空間があればどんなに楽しいだろう。素晴らしい世の中になるに違いない。

「学心」は名前の通り、学ぶ心を育てることを教育理念として掲げています。従来の塾とはまったく異なった学習空間を作り上げていきます。詰め込み教育や序列化教育はしません。とことん楽しんで学ぶ。「そんな考え方があったのか」「こんなこともできるのか」歓びの渦を巻き起こす場所にしたいです。

子どもたちが「学心」で学んで、教室を出るときには、新しい世界が目の前に広がっているような、そんな体験をして欲しいのです。

  • 学心だより2022年4月号より抜粋

この記事を書いた人

独学で灘・東大に合格。数学オリンピックで2回の受賞歴があります。
2022年春に新規事業立ち上げ。教育で貢献します。